第一章 「査定」とは

ここでは、審査及び審判に関する用語のうち「査定」について解説します。

総目次

  • 第一章 「査定」とは

    査定」とは、審査官がする処分であって、特許出願を審査した結論としてするものをいい、査定書をもって行われる。

    査定には、「拒絶をすべき旨の査定」と「特許をすべき旨の査定」とがある(1)なお、査定には、特許出願についての査定のほか、延長登録出願についての査定もあるが、ここでは割愛する。

    • 第一節 査定共通

      • 1 査定の要件

        査定は、少なくとも以下を満たすことを要する。

        • 審査官(除斥されるべき者を除く。)がしたものであること(2)特許法第四十七条
          特許庁長官は、審査官に特許出願を審査させなければならない。
          特許法第四十八条
          第百三十九条第一号から第五号まで及び第七号の規定(審判官の除斥)は、審査官に準用する。
          特許法第百三十九条
          審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
          一  審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
          二  審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
          三  審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
          四  審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
          五  審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
          六  ・・・
          七  審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。

        • 出願審査の請求があった特許出願についてのものであること(3)特許法第四十八条の二
          特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。
          (4)特許庁編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第四十八条の二の〔趣旨〕の項において、出願審査の請求のない特許出願を審査しても、その審査はその手続についての重大な前提要件を欠くものであり、なんら効力を生じない。とする。

        • 文書をもって行われ、かつ、理由が付されたものであること(5)特許法第五十二条第一項
          査定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

        • (その謄本が特許庁長官により特許出願人に送達されること)(6)特許法第五十二条第二項
          特許庁長官は、査定があつたときは、査定の謄本を特許出願人に送達しなければならない。

      • 2 査定の効果

        査定があったときは、特許出願の審査は終了する。

        もっとも、特許出願は、審査に係属しなくなったとしても、特許庁に係属しなくなるわけではない(7)例えば、特許庁編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第十七条の〔趣旨〕の項において、ただ特許庁に係属とすると出願から出願審査の請求までの間のみならず拒絶査定から審判請求までの間も補正ができることになるが、別途明細書又は図面の補正については、一七条の二第一項において補正できる時期が制限されるので実質的には大した変化はないと考えられる。とする。

      • 3 査定の確定

        • (1)単位

          査定は、特許出願ごとに確定する(8)最高裁平成20年7月10日第一小法廷判決・平成19年(行ヒ)第318号[発光ダイオードモジュールおよび発光ダイオード光源]
          特許法は,一つの特許出願に対し,一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて一つの特許が付与され,一つの特許権が発生するという基本構造を前提としており,請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。
          もっとも、この部分は判例判旨ではない。例えば、中野哲弘著『知財審決取消訴訟の理論と実務』日本加除出版(2015)41頁を参照。

        • (2)時期

          査定が確定する時期は、査定の別ごとに異なる。

        • (3)効果

          査定が確定した場合、その特許出願を基礎とする特許法第四十一条第一項[特許出願等に基づく優先権主張]の規定による優先権を主張することができなくなる(9)特許法第四十一条第一項第四号
          特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許・・・を受ける権利を有する特許出願・・・であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
          一  ・・・
          二  ・・・
          三  ・・・
          四  先の出願について、その特許出願の際に、査定・・・が確定している場合
          五  ・・・

          このほか、査定の別ごとに異なる効力を生じさせる。

    • 第二節 「拒絶をすべき旨の査定」とは

      拒絶をすべき旨の査定」とは、査定のうち、拒絶をすべき旨をその結論とするものをいう。拒絶査定

      特許出願のうち、「拒絶の理由」があると認められたものについて、拒絶査定書をもって行われる。

      • 1 拒絶査定の要件

        拒絶をすべき旨の査定をするためには、査定をしようとするときに、以下のいずれも満たすことを要する。

        • その特許出願について拒絶の理由があると認められること(10)特許法第四十九条各号列記以外の部分
          審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

        • 当該拒絶の理由が当該特許出願について既に通知した拒絶の理由と同一であり、かつ、当該通知により指定した期間(の末日の翌日から二月)を経過していること(11)特許法第五十条本文
          審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
          特許法第五条第三項
          第一項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。
          特許法施行規則第五条第五項
          特許法第五条第三項の経済産業省令で定める期間に係るものは、次の各号に掲げるものとする。
          一  ・・・
          二  審査官が指定した期間(特許法・・・第百六十三条第二項において準用する同法第五十条の規定により審査官が指定した期間を除く。)に係る延長

          特許法施行規則第五条第六項
          特許法第五条第三項の経済産業省令で定める期間は、・・・審査官が手続をすべきものとして指定した期間の末日(当該期間の末日が同法第三条第二項の規定の適用を受けるときにあつては、同項の規定の適用がないものとした場合における当該期間の末日)の翌日から二月とする。

      • 2 拒絶査定の効果

        拒絶をすべき旨の査定の謄本の送達をもって、拒絶査定不服審判の請求をすることができる期間の進行が開始する(12)特許法第百二十一条第一項
        拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。

        拒絶をすべき旨の査定(最初にされたものに限る。)の謄本の送達をもって、特許出願の分割をすることができる期間の進行が開始する(13)特許法第四十四条第一項第三号
        特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
        一  ・・・
        二  ・・・
        三  拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。

      • 3 拒絶査定の不服申立

        拒絶をすべき旨の査定の謄本の送達を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる(14)特許法第百二十一条第一項
        拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。

        なお、拒絶をすべき旨の査定については行政不服審査法の規定による審査請求をすることはできず(15)特許法第百九十五条の四
        査定・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
        、処分の取消しの訴え(16)行政事件訴訟法第三条第二項
        この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。
        を提起することもできない(17)特許法第百七十八条第六項
        審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

      • 3 拒絶査定の確定

        • (1)時期

          拒絶をすべき旨の査定は、以下の時期に確定する。

          • 審判を請求しない場合
            • 審判を請求することができる期間を経過した時(18)特許法第百二十一条第一項
              拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。

          • 審判を請求した場合
            • 審判の請求を取り下げた時

            • 審判の請求は成り立たない旨の審決が確定した時

            • 審判の請求を却下する旨の審決が確定した時

            • 審判の請求書を却下する旨の決定が確定した時

        • (2)効果

          その特許出願は、特許法第三十九条第一項から第四項[先願]までの規定の適用については、原則として、初めからなかったものとみなされる(19)特許法第三十九条第五項本文
          ・・・特許出願について拒絶をすべき旨の査定・・・が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。

          したがって、拒絶をすべき旨の査定が確定した特許出願に係る発明と同一の発明について他の特許出願をした場合であっても、当該他の特許出願は、当該拒絶をすべき旨の査定が確定した特許出願に基づく同条第一項の規定により特許をすることができないとはされない。

          もっとも、この場合において、当該他の特許出願の時に当該拒絶をすべき旨の査定が確定した特許出願について出願公開があったときは、同法第二十九条第一項[特許要件]の規定により特許をすることができない。

    • 第三節 「特許をすべき旨の査定」とは

      特許をすべき旨の査定」とは、査定のうち、特許をすべき旨をその結論とするものをいう。特許査定

      特許出願のうち、拒絶の理由が発見されなかったものについて、特許査定書をもって行われる。

      • 1 特許査定の要件

        特許をすべき旨の査定をするためには、査定をしようとするときに、その特許出願について拒絶の理由を発見しないことを要する(20)特許法第五十一条
        審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。

      • 2 特許査定の効果

        特許をすべき旨の査定の謄本の送達をもって、特許料の納付をすることができる期間の進行が開始する(21)特許法第百八条第一項
        前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定・・・の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。

        特許をすべき旨の査定(審判の請求前にされたものに限る。)の謄本の送達をもって、特許出願の分割をすることができる期間の進行が開始する(22)特許法第四十四条第一項第二号
        特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
        一  ・・・
        二  特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
        三  ・・・

        なお、特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内であっても、特許権の設定の登録があったときは、特許出願が特許庁に係属しなくなるため、特許出願の分割をすることができなくなる(23)特許庁編『特許・実用新案審査基準』は、「第Ⅳ部 第1章 第1節 特許出願の分割の要件/2.1.2 特許出願の分割をすることができる時期」の項において、(注3)特許査定の謄本送達日から30日以内であっても、特許権の設定登録がなされた後は、特許出願が特許庁に係属しなくなるため、特許出願を分割することができない。とする。

      • 3 特許査定の不服申立

        特許をすべき旨の査定については、審判を請求することはできず(24)例えば、特許庁編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第五十一条の〔趣旨〕の項において、もっとも特許査定に対しては審判を請求することはできないという建前があるとし、同じく特許法第百二十一条の〔趣旨〕の項において、旧法は拒絶査定に対する場合のみならず特許査定に対しても抗告審判を請求する場合のあることを予定して(特許査定に対して審判の請求があった事例は一度もなく、具体的にはどういう場合を想定したのか必ずしも明瞭ではないが、一部の学者の意見としては旧法一五条の規定により制限を付して特許されたその特許に不服な場合がこれに該当するといわれている)一〇九条は拒絶査定に限定することなく広く査定と規定していたが、現行法においては特許査定に対しては審判を請求することができないものとし(特許査定に対してその査定を受けた者が不服ということはあり得ないという考えである)、拒絶査定に対する不服があるときにのみ審判を請求することができるものとした(特許査定に対して不服を有する第三者は無効審判を請求することになる)。とする。、行政不服審査法の規定による審査請求をすることもできない(25)特許法第百九十五条の四
        査定・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
        (26)知財高裁平成27年6月10日判決・平成26年(行コ)第10004号等[1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体]
        ・・・[特許]法195条の4の規定により,本件特許査定に対して行服法による不服申立てをすることは認められないから,本件異議申立ては不適法なものであ(る)・・・。

        ここで、特許をすべき旨の査定について処分の取消しの訴え(27)行政事件訴訟法第三条第二項
        この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。
        を提起することができるか否かの論点が存在するところ、傍論ながらも、その可能性を示唆する裁判例がある(28)知財高裁平成27年6月10日判決・平成26年(行コ)第10004号等[1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体]
        しかし,現行法の下では,行服法による不服申立てが認められないとしても,行訴法に基づく抗告訴訟を提起することにより司法的救済を求めることができることはいうまでもないから,特許査定に対する不服申立ての途が閉ざされるものではない。

        なお、特許については何人も特許異議の申立てをすることができ(29)特許法第百十三条
        何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。
        、利害関係人は特許無効審判を請求することもできる(30)特許法第百二十三条第一項前段
        特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。
        特許法第百二十三条第二項
        特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。

      • 4 特許査定の確定

        • (1)時期

          特許をすべき旨の査定は、その査定の謄本の送達があった時に直ちに確定する(31)特許庁審判部編審判便覧(改訂第16版)』は、「46―00 確定」の項において、また、拒絶査定不服審判において特許(登録)すべきものとする審決・・・は、不服を申し立てる法律上の利益を有する者が存在しないことから、審決の謄本の送達があったときに確定する。とし、これは特許をすべき旨の査定についても同様に当てはまるものと考えられる。

          ただし、特許をすべき旨の査定について処分の取消しの訴えを提起することができるとする立場によれば(32)知財高裁平成27年6月10日判決・平成26年(行コ)第10004号等[1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体]
          しかし,現行法の下では,行服法による不服申立てが認められないとしても,行訴法に基づく抗告訴訟を提起することにより司法的救済を求めることができることはいうまでもないから,特許査定に対する不服申立ての途が閉ざされるものではない。
          、特許をすべき旨の査定は、原則として、以下のうちいずれか早い時期に確定する。

          • その査定があったことを知った日から6月を経過した時(33)行政事件訴訟法第十四条第一項
            取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

          • その査定の日から1年を経過した時(34)行政事件訴訟法第十四条第二項
            取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

        • (2)効果

          特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内に特許料を納付することにより(35)特許法第百八条第一項
          前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定・・・の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
          、特許権の設定が登録され、特許権が発生する(36)特許法第六十六条第一項
          特許権は、設定の登録により発生する。
          特許法第六十六条第二項
          第百七条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があつたときは、特許権の設定の登録をする。

          このとき、その特許出願について特許法第三十九条第五項本文の規定が適用されないこと、すなわち、いわゆる先願の地位を有することが確定する(37)特許法第三十九条第五項本文
          ・・・特許出願について拒絶をすべき旨の査定・・・が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。

脚注   [ + ]

1. なお、査定には、特許出願についての査定のほか、延長登録出願についての査定もあるが、ここでは割愛する。
2. 特許法第四十七条
特許庁長官は、審査官に特許出願を審査させなければならない。
特許法第四十八条
第百三十九条第一号から第五号まで及び第七号の規定(審判官の除斥)は、審査官に準用する。
特許法第百三十九条
審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一  審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
二  審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
三  審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四  審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五  審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
六  ・・・
七  審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。
3. 特許法第四十八条の二
特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。
4. 特許庁編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第四十八条の二の〔趣旨〕の項において、出願審査の請求のない特許出願を審査しても、その審査はその手続についての重大な前提要件を欠くものであり、なんら効力を生じない。とする。
5. 特許法第五十二条第一項
査定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
6. 特許法第五十二条第二項
特許庁長官は、査定があつたときは、査定の謄本を特許出願人に送達しなければならない。
7. 例えば、特許庁編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第十七条の〔趣旨〕の項において、ただ特許庁に係属とすると出願から出願審査の請求までの間のみならず拒絶査定から審判請求までの間も補正ができることになるが、別途明細書又は図面の補正については、一七条の二第一項において補正できる時期が制限されるので実質的には大した変化はないと考えられる。とする。
8. 最高裁平成20年7月10日第一小法廷判決・平成19年(行ヒ)第318号[発光ダイオードモジュールおよび発光ダイオード光源]
特許法は,一つの特許出願に対し,一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて一つの特許が付与され,一つの特許権が発生するという基本構造を前提としており,請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。
もっとも、この部分は判例判旨ではない。例えば、中野哲弘著『知財審決取消訴訟の理論と実務』日本加除出版(2015)41頁を参照。
9. 特許法第四十一条第一項第四号
特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許・・・を受ける権利を有する特許出願・・・であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
一  ・・・
二  ・・・
三  ・・・
四  先の出願について、その特許出願の際に、査定・・・が確定している場合
五  ・・・
10. 特許法第四十九条各号列記以外の部分
審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
11. 特許法第五十条本文
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
特許法第五条第三項
第一項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。
特許法施行規則第五条第五項
特許法第五条第三項の経済産業省令で定める期間に係るものは、次の各号に掲げるものとする。
一  ・・・
二  審査官が指定した期間(特許法・・・第百六十三条第二項において準用する同法第五十条の規定により審査官が指定した期間を除く。)に係る延長

特許法施行規則第五条第六項
特許法第五条第三項の経済産業省令で定める期間は、・・・審査官が手続をすべきものとして指定した期間の末日(当該期間の末日が同法第三条第二項の規定の適用を受けるときにあつては、同項の規定の適用がないものとした場合における当該期間の末日)の翌日から二月とする。
12, 14, 18. 特許法第百二十一条第一項
拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
13. 特許法第四十四条第一項第三号
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
一  ・・・
二  ・・・
三  拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
15, 25. 特許法第百九十五条の四
査定・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
16, 27. 行政事件訴訟法第三条第二項
この法律において処分の取消しの訴えとは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に処分という。)の取消しを求める訴訟をいう。
17. 特許法第百七十八条第六項
審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。
19, 37. 特許法第三十九条第五項本文
・・・特許出願について拒絶をすべき旨の査定・・・が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
20. 特許法第五十一条
審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。
21, 35. 特許法第百八条第一項
前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定・・・の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
22. 特許法第四十四条第一項第二号
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
一  ・・・
二  特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
三  ・・・
23. 特許庁編『特許・実用新案審査基準』は、「第Ⅳ部 第1章 第1節 特許出願の分割の要件/2.1.2 特許出願の分割をすることができる時期」の項において、(注3)特許査定の謄本送達日から30日以内であっても、特許権の設定登録がなされた後は、特許出願が特許庁に係属しなくなるため、特許出願を分割することができない。とする。
24. 例えば、特許庁編工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第五十一条の〔趣旨〕の項において、もっとも特許査定に対しては審判を請求することはできないという建前があるとし、同じく特許法第百二十一条の〔趣旨〕の項において、旧法は拒絶査定に対する場合のみならず特許査定に対しても抗告審判を請求する場合のあることを予定して(特許査定に対して審判の請求があった事例は一度もなく、具体的にはどういう場合を想定したのか必ずしも明瞭ではないが、一部の学者の意見としては旧法一五条の規定により制限を付して特許されたその特許に不服な場合がこれに該当するといわれている)一〇九条は拒絶査定に限定することなく広く査定と規定していたが、現行法においては特許査定に対しては審判を請求することができないものとし(特許査定に対してその査定を受けた者が不服ということはあり得ないという考えである)、拒絶査定に対する不服があるときにのみ審判を請求することができるものとした(特許査定に対して不服を有する第三者は無効審判を請求することになる)。とする。
26. 知財高裁平成27年6月10日判決・平成26年(行コ)第10004号等[1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体]
・・・[特許]法195条の4の規定により,本件特許査定に対して行服法による不服申立てをすることは認められないから,本件異議申立ては不適法なものであ(る)・・・。
28, 32. 知財高裁平成27年6月10日判決・平成26年(行コ)第10004号等[1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体]
しかし,現行法の下では,行服法による不服申立てが認められないとしても,行訴法に基づく抗告訴訟を提起することにより司法的救済を求めることができることはいうまでもないから,特許査定に対する不服申立ての途が閉ざされるものではない。
29. 特許法第百十三条
何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。
30. 特許法第百二十三条第一項前段
特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。
特許法第百二十三条第二項
特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。
31. 特許庁審判部編審判便覧(改訂第16版)』は、「46―00 確定」の項において、また、拒絶査定不服審判において特許(登録)すべきものとする審決・・・は、不服を申し立てる法律上の利益を有する者が存在しないことから、審決の謄本の送達があったときに確定する。とし、これは特許をすべき旨の査定についても同様に当てはまるものと考えられる。
33. 行政事件訴訟法第十四条第一項
取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
34. 行政事件訴訟法第十四条第二項
取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
36. 特許法第六十六条第一項
特許権は、設定の登録により発生する。
特許法第六十六条第二項
第百七条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があつたときは、特許権の設定の登録をする。