事件の概要:動画配信サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴ(東京都中央区)が国内特許が侵害されたとして、2019年に米FC2等を東京地裁に提訴した。東京地裁では特許権侵害を認めなかったが、知財高裁では特許権侵害を認めた。最高裁へ上告・上告受理申立て中で判決は未確定。
争点:FC2動画のサーバが海外にある場合に特許権侵害が認められるか否か。ここで、第一審と第二審の判断が分かれたのは、特許権における「属地主義の原則」について、本件事案をあてはめることの可否。「属地主義の原則」とは、特許権には権利が有効な範囲を、取得した国に限る「属地主義」という原則をいう。第一審では、特許発明の構成要件の一部が海外にある場合に属地主義の原則から特許権侵害は認められないとした。第二審では、当該システムを構成する要素の一部であるサーバが国外に存在する場合であっても、当該行為の具体的態様、当該システムを構成する各要素のうち国内に存在するものが当該発明において果たす機能・役割、当該システムの利用によって当該発明の効果が得られる場所、その利用が当該発明の特許権者の経済的利益に与える影響等を総合考 慮し、当該行為が我が国の領域内で行われたものとみることができるときは、特許権侵害であるとした(令和4年(ネ)第10046号、知財高裁特別部、令和5年5月26日言渡)。
特許庁は海外サーバを利用した国内でのサービスについては、日本国内の特許権が有効か明確でないため、条件を満たせば特許の保護対象である等の特許法の改正を行う予定である(2024年11月5日付け日本経済新聞)。
2024年11月11日記(2025年6月20日転載)