ダバス事件

東京地方裁判所は、AIは発明者としては認められず、「発明は人間の創造的活動」と判示した(令和5年(行ウ)第5001号、東京地裁、令和5年16日言渡)。米国在住の出願人は、国際出願した上、発明者の氏名の欄に「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載した国内書面を提出した。特許庁は、発明者の氏名として自然人の氏名を記載するように補正を命じたが、出願人は応じなかったため、出願却下した。これに対し、出願人は、出願却下処分が違法であると主張して、同処分の取消しを求めて東京地裁に提訴した。特許法に規定する「発明者」は自然人に限られるか、すなわち、AIは「発明者」に該当し得るかが問題となった。

(原告が主張する発明)
 人工知能(ダバス)が、人の関与なしに、生成・創作して発明「フードコンテナ並びに注意を喚起し誘引する装置及び方法」を発明したものである。

(ダバス事件と国際的動向)
 AIが特許法で認められた「発明者」に該当するか否かが争点となった「ダバス事件」では、日本を含む多くの国で、発明者を自然人に限定する判断が下されている。この事件を契機に、各国でAI発明の法的取り扱いが議論されている。

2025年1月25日記(2025年6月20日転載)