ここでは、審査及び審判に関する用語のうち「補正の却下の決定」について解説します。
目次
第五章 「補正の却下の決定」とは
「補正の却下の決定」とは、審査官がする処分であって、特許出願若しくは拒絶査定不服審判の請求を審査する過程において、補正を審査した結論としてするもの又は審判官がする処分であって、拒絶査定不服審判の請求を審理する過程において、補正を審査した結論としてするものをいう(1)なお、補正の却下の決定には、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正を却下するもののほか、審判長が特許無効審判の請求書の請求の理由についてした補正を却下するものもあるが、ここでは割愛する。。補正却下決定。
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について所定の時又は期間内においてした補正のうち「却下の理由」があると認められるものについて、通常、査定書又は審決書において行われる(2)特許庁審判部編『審判便覧(改訂第16版)』は、「63-04 特許出願の拒絶査定不服審判における審決と併せて補正却下の決定をするときの起案」の項において、
特許出願の拒絶査定不服審判における審決と併せて補正却下の決定をするときは、請求成立・請求不成立の審決の理由中に、補正却下の決定の結論及び理由を記載する。このとき、補正却下の決定を改めて別の文書で行わない。なお、このときにおいては、審決の結論中には、補正却下の決定の結論を記載しない。
とする。。1 要件
(1)特許出願を審査する審査官がする場合
審査官(拒絶査定不服審判の請求があった場合において、その請求を審査する者を除く。)が補正の却下の決定をするためには、その決定をしようとするときにおいて、以下のいずれも要する(3)特許法第五十三条第一項
第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
特許法第十七条の二第一項特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。 一 第五十条(・・・)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。 二 ・・・ 三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。 四 ・・・
。- 特許をすべき旨の査定の謄本が送達されていないこと
- その補正が
- 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてされたものであり、かつ、
- 以下の期間内にされたものであること
- 最後の拒絶理由通知により指定した期間内
- 特許法第五十条の二の規定による通知と併せてした最初の拒絶理由通知により指定した期間内
- その補正に却下の理由があると認められること
(2)拒絶査定不服審判の請求を審査する審査官がする場合
審査官(拒絶査定不服審判の請求があった場合において、その請求を審査する者に限る。)が補正の却下の決定をするためには、その決定をしようとするときにおいて、以下のいずれも要する(4)特許法第百六十三条第一項
・・・、第五十三条・・・の規定は、前条の規定による審査に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
特許法第五十三条第一項第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
特許法第十七条の二第一項特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
。
一 第五十条(・・・第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 ・・・
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。- 特許をすべき旨の査定の謄本が送達されていないこと
- その補正が
- 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてされたものであり、かつ、
- 以下の時又は期間内にされたものであって、拒絶査定不服審判の請求前にされたものでないこと
- 拒絶査定不服審判の請求と同時
- 最後の拒絶理由通知により指定した期間内
- 特許法第五十条の二の規定による通知と併せてした最初の拒絶理由通知により指定した期間内
- その補正に却下の理由があると認められること
- その補正前の特許出願について特許をすべき旨の査定をすることができること(5)特許法第百六十四条
審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
3 ・・・
(3)拒絶査定不服審判の請求を審理する審判官がする場合
審判官が補正の却下の決定をするためには、その決定をしようとするときにおいて、以下のいずれも要する(6)特許法第百五十九条第一項
第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。
特許法第十七条の二第一項特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
。
一 第五十条(第百五十九条第二項・・・において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 ・・・
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。- 特許をすべき旨の査定の謄本が送達されていないこと
- その補正が
- 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてされたものであり、かつ、
- 以下の時又は期間内にされたものであって、拒絶査定不服審判の請求前にされたものでないこと
- 拒絶査定不服審判の請求と同時
- 最後の拒絶理由通知により指定した期間内
- 特許法第五十条の二の規定による通知と併せてした最初の拒絶理由通知により指定した期間内
- その補正に却下の理由があると認められること
2 効果
決定をもって却下された補正は、その効力を生じない。
審査官は、当該補正前における願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について審査し、査定をしなければならない。
審判官は、当該補正前における願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について審理し、審決をしなければならない。
3 不服申立
(1)補正の却下の決定に対して
補正の却下の決定に対しては、不服を申し立てることができず(7)特許法第五十三条三項本文
第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
、行政不服審査法による審査請求をすることもできない(8)特許法第百九十五条の四・・・この法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
。もっとも、審査官のした補正の却下の決定に対して不服がある場合は、拒絶査定不服審判を請求と同時に当該決定に係る補正と同一の補正をすること等により、当該補正について、審査官による審査又は審判官による審理を受けることができる(9)特許法第五十三条三項ただし書
ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においては、この限りでない。
。同様に、審判官のした補正の却下の決定に対して不服がある場合は、審決に対する訴えを提起することにより、審決において当該補正を却下した判断について、裁判所による審理を受けることができる(10)知財高裁平成23年3月22日判決・平成22年(行ケ)第10228号[高周波超伝導電磁エンジン]
原告は,特許法53条3項ただし書きの規定等を根拠として,本件補正を却下する決定については不服申立てができると解すべきであるなどと主張する。
。
しかし,特許法53条3項ただし書きは,拒絶査定不服審判を請求した場合には,審判手続において,審査段階でなされた補正却下の当否を争うことができることを前提にしているものであって,その規定から,審判段階でなされる補正却下の当否についての独立の不服申立てが認められるものではない。特許法159条1項により同法53条の規定が準用されることから明らかなように,拒絶査定不服審判の段階でなされた補正却下の決定に対しては,独立の不服申立てをすることはできず(同条3項本文),審決取消訴訟が提起された場合に,その訴訟において補正却下の当否を争うことができるのである。
原告の上記主張は独自の見解によるものであって,採用することができない。
したがって,事前の通知や教示をせずに,審決において本件補正を却下したことに違法はなく,取消事由1は理由がない。(2)補正の却下の決定がされない不作為に対して
補正の却下の決定をすべきであるにかかわらずこれがされない不作為に対して第三者が不服を申し立てることができるか否かの点について、以下のことがいえよう。
まず、補正の却下の決定の不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない(11)特許法第百九十五条の四
・・・この法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
特許法第五十三条三項本文第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
。次に、特許法において、補正の却下の決定がされない不作為に対して審判を請求することができるとする規定も存在しない。
また、審査官又は審判官が補正の却下の決定をすべき旨を命ずることを求める義務付けの訴え(12)行政事件訴訟法第三条第六項第一号
この法律において
を提起することができるか否かについては、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった後は、補正の却下の決定の要件(13)特許法第五十三条第一項義務付けの訴え
とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)
二 ・・・第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
のうち「特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたとき」を満たさないため、その余の要件(14)行政事件訴訟法第三十七条の二第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
を満たすか否かにかかわらず、第三者は、当該義務付けの訴えを提起することができないものと考えられる(15)補正の却下の決定をしなければならない場合において、その決定をするか否かは、実質的には、審査官又は審判官による裁量ということもできる。。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5 義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。したがって、補正の却下の決定がされない不作為があった場合には、補正の却下の理由が特許異議申立ての理由又は特許を無効とすべき理由にも該当するときに限り、特許異議の申立てをし、又は特許無効審判を請求することになろう(16)特許法第条百十三条
何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたこと。
二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたこと。
三 その特許が条約に違反してされたこと。
四 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。
五 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。
特許法第百二十三条第一項特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
。
一 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。
二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
三 その特許が条約に違反してされたとき。
四 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。
五 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
六 その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
七 特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。
八 その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が第百二十六条第一項ただし書若しくは第五項から第七項まで(第百二十条の五第九項又は第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、第百二十条の五第二項ただし書又は第百三十四条の二第一項ただし書の規定に違反してされたとき。
脚注
↑1 | なお、補正の却下の決定には、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正を却下するもののほか、審判長が特許無効審判の請求書の請求の理由についてした補正を却下するものもあるが、ここでは割愛する。 |
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↑2 | 特許庁審判部編『審判便覧(改訂第16版)』は、「63-04 特許出願の拒絶査定不服審判における審決と併せて補正却下の決定をするときの起案」の項において、特許出願の拒絶査定不服審判における審決と併せて補正却下の決定をするときは、請求成立・請求不成立の審決の理由中に、補正却下の決定の結論及び理由を記載する。このとき、補正却下の決定を改めて別の文書で行わない。なお、このときにおいては、審決の結論中には、補正却下の決定の結論を記載しない。とする。 |
↑3 | 特許法第五十三条第一項第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。 特許法第十七条の二第一項 特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。 一 第五十条(・・・)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。 二 ・・・ 三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。 四 ・・・ |
↑4 | 特許法第百六十三条第一項・・・、第五十三条・・・の規定は、前条の規定による審査に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。 特許法第五十三条第一項 第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。 特許法第十七条の二第一項 特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。 |
↑5 | 特許法第百六十四条審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。 |
↑6 | 特許法第百五十九条第一項第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。 特許法第十七条の二第一項 特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。 |
↑7 | 特許法第五十三条三項本文第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。 |
↑8 | 特許法第百九十五条の四・・・この法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。 |
↑9 | 特許法第五十三条三項ただし書ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においては、この限りでない。 |
↑10 | 知財高裁平成23年3月22日判決・平成22年(行ケ)第10228号[高周波超伝導電磁エンジン]原告は,特許法53条3項ただし書きの規定等を根拠として,本件補正を却下する決定については不服申立てができると解すべきであるなどと主張する。 |
↑11 | 特許法第百九十五条の四・・・この法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。 特許法第五十三条三項本文 第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。 |
↑12 | 行政事件訴訟法第三条第六項第一号この法律において義務付けの訴えとは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。 |
↑13 | 特許法第五十三条第一項第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。 |
↑14 | 行政事件訴訟法第三十七条の二第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。 |
↑15 | 補正の却下の決定をしなければならない場合において、その決定をするか否かは、実質的には、審査官又は審判官による裁量ということもできる。 |
↑16 | 特許法第条百十三条何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。 特許法第百二十三条第一項 特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。 |