ここでは、審査及び審判に関する用語のうち「審決」について解説します。
目次
第二章 「審決」とは
「審決」とは、審判官の合議体(以下単に「審判官」という。)がする処分又は裁決であって、審判の請求を審理した結論としてするものをいい、審決書をもって行われる。
ここでは、特許出願に係る拒絶査定不服審判を単に「審判」といい(1)なお、審判には、特許出願に係る拒絶査定不服審判のほか、延長登録出願に係る拒絶査定不服審判、特許無効審判、延長登録無効審判及び訂正審判があるが、ここでは割愛する。、その請求を審理した結論としてする処分又は裁決を単に「審決」という。
審決には、「審判の請求は成り立たない旨の審決」と「審判の請求を認める旨の審決」のほか、「さらに審査に付すべき旨の審決」と「審判の請求を却下すべき旨の審決」とがある。
第一節 審決共通
1 審決の要件
審決は、少なくとも以下を満たすことを要する。
審判官(除斥されるべき者を除く。)がしたものであること(2)特許法第百三十九条
審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一 審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
二 審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
三 審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四 審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五 審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
六 審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
七 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき審理の終結を請求人に通知していること(3)特許法第百五十六条第一項
審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者・・・に通知しなければならない。
(4)なお、特許庁審判部編『審判便覧(改訂第15版)』は、「42―03 審理終結通知の省略」の項において、以下のときは、審理終結通知を省略しても、当事者にとって格別不利にならないので、審理終結通知を省略しても良い。
として、(1) 拒絶査定不服の審判であって、請求が成り立つとき。
を掲げていたが、『審判便覧(改訂第16版)』において「42―03 審理終結通知の省略」の項全体が削除された。理由その他の所定の事項を記載した文書をもって行われること(5)特許法第百五十七条第二項
審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
一 審判の番号
二 当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
三 審判事件の表示
四 審決の結論及び理由
五 審決の年月日(その謄本が特許庁長官により審判の請求人に送達されること)(6)特許法第百五十七条第三項
特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者・・・に送達しなければならない。
2 審決の効果
審決があったときは、審判は終了する(7)特許法第百五十七条第一項
審決があつたときは、審判は、終了する。
。3 審決の確定
(1)単位
審決は、審判事件ごとに確定する(8)特許法第百六十七条の二本文
審決は、審判事件ごとに確定する。
。(2)時期
審決が確定する時期は、審決の別ごとに異なる。
(3)効果
審決が確定した場合、その請求に係る特許出願に基づいて特許法第四十一条第一項[特許出願等に基づく優先権主張]の規定による優先権を主張することができなくなる(9)特許法第四十一条第一項第四号
特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許・・・を受ける権利を有する特許出願・・・であつて先にされたもの(以下
。先の出願
という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
一 ・・・
二 ・・・
三 ・・・
四 先の出願について、その特許出願の際に、・・・審決が確定している場合
五 ・・・このほか、審決の別ごとに異なる効力を生じさせる。
第二節 「審判の請求は成り立たない旨の審決」とは
「審判の請求は成り立たない旨の審決」とは(10)なお、特許法第には「拒絶をすべき旨の・・・審決」との語が用いられているが(特許法第三十九条5項他)、ここでは専ら「審判の請求は成り立たない旨の審決」との語を用いる。、審決のうち、審判の請求は成り立たない旨を結論とするものをいう。請求不成立審決、あるいは、拒絶審決。
審判の請求のうち、理由があると認められないものについてされる。
1 請求不成立審決の要件
審判の請求は成り立たない旨の審決をするためには、審決をしようとするときにおいて、以下のいずれかを満たすことを少なくとも要する。
その請求に係る特許出願について査定の理由と同一の拒絶の理由があると認められること(11)特許法第百五十八条
審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。
(12)例えば、特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第百五十九条の〔趣旨〕の項において、例えば、審査において後願を理由として拒絶され、それに不服で審判を請求した場合
において、審判においても後願の事実が明らかであれば、すでにそれについては審査の段階で拒絶理由を通知しているのであるから、重ねて拒絶理由を通知する必要はなく、ただちに審判の請求を棄却することができる。
とする。その請求に係る特許出願について査定の理由と異なる拒絶の理由があると認められ、当該拒絶の理由がその請求に係る特許出願について既に通知した拒絶の理由(審査官が通知したものを含む。)と同一であり、かつ、その通知とともに指定した期間を経過していること(13)特許法第百五十八条
審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。
(14)特許法第百五十九条第二項第五十条(拒絶理由の通知)及び第五十条の二(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。・・・。
特許法第五十条本文審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
(15)知財高裁平成24年3月8日判決・平成23年(行ケ)第10406号[水/アルコールを基礎とするフルオロアルキル官能性オルガノポリシロキサン含有組成物,その製造方法および使用法]本件においては,平成23年3月23日付けの拒絶理由通知に対する意見書の提出期限は,当初同年6月30日とされたが,原告からの合計3か月の期間延長申請に対して許可がされたことにより,同年9月30日まで延長された。しかるに,本件審判においては,上記提出期限より約2か月前である平成23年7月25日付けで審理終結通知がされ,同年8月9日付けで上記拒絶理由を理由として本件審決がされた。したがって,本件審決は,実質的に意見書提出の機会を付与することなくされたものであり,手続違背の違法があるといえる。
ただし、査定の理由を拒絶査定書の備考の記載に基づいて本文の記載に比して減縮して解釈した上で、当該査定の理由と異なる拒絶の理由であって、審査官が既に通知したものにより審判の請求は成り立たないとした審決を手続違背を理由に取り消した裁判例がある(16)知財高裁平成27年3月10日判決・平成26年(行ケ)第10137号[可逆的熱特性を有する複合繊維]
上記の点に鑑みれば,本件拒絶査定において,
。理由1
及び理由2
のいずれの対象にも記載されていない平成24年補正後請求項1につき,これに対応する当初請求項1について本件拒絶理由通知書に記載されていた拒絶理由が,黙示に維持されているものと解する余地はないものというべきである。2 請求不成立審決の効果
審判の請求は成り立たない旨の審決の謄本の送達をもって、審決に対する訴えの提起をすることができる期間の進行が開始する(17)特許法第百七十八条第三項
第一項の訴えは、審決・・・の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
。なお、審判の請求は成り立たない旨の審決の謄本の送達をもってしても、その請求に係る特許出願の分割をすることができる期間の進行は開始しない(18)特許法第四十四条第一項
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
。
一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。3 請求不成立審決の不服申立
審判の請求人は、審判の請求は成り立たない旨の審決に対し、審決の謄本の送達があった日から30日以内に特許庁長官を被告として審決に対する訴えを東京高等裁判所に提起することができる(19)日本国憲法第七十六条第二項
特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
行政事件訴訟法第三条第三項この法律において
裁決の取消しの訴え
とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に審査請求
という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に裁決
という。)の取消しを求める訴訟をいう。
特許法第百七十八条第一項・・・審決に対する訴え・・・は、東京高等裁判所の専属管轄とする。
特許法第百七十八条第二項前項の訴えは、当事者・・・に限り、提起することができる。
特許法第百七十八条第三項第一項の訴えは、審決・・・の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
特許百七十九条本文前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。
。なお、審判の請求は成り立たない旨の審決については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることはできない(20)特許法第百九十五条の四
・・・審決・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
。4 請求不成立審決の確定
(1)時期
審判の請求は成り立たない旨の審決は、以下の時に確定する。
- 訴えを提起しない場合
訴えを提起することができる期間を経過した時(21)特許法第百七十八条第三項
第一項の訴えは、審決・・・の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
- 訴えを提起した場合
訴えを取り下げた時
請求を棄却する旨の判決が確定した時
訴えを却下する旨の判決が確定した時
- 訴えを提起しない場合
(2)効果
その請求に係る特許出願は、特許法第三十九条第一項から第四項までの規定(先願)の適用については、初めからなかったものとみなされる(22)特許法第三十九条第五項本文
・・・特許出願について拒絶をすべき旨の・・・審決が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
。
第三節 「審判の請求を認める旨の審決」とは
「審判の請求を認める旨の審決」とは(23)なお、特許法には「特許をすべき旨の・・・審決」との語が用いられているが(特許法第百八条第一項他)、ここでは専ら「審判の請求を認める旨の審決」との語を用いる。、審決のうち、原査定を取り消す旨のほか、特許をすべき旨を結論とするものをいう(24)特許法第百五十九条第三項
第五十一条(特許査定)・・・の規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合に準用する。
。請求認容審決、あるいは、特許審決。審判の請求のうち、理由があると認められるものについてにされる。
1 請求認容審決の要件
審判の請求を認める旨の審決をするためには、審決をしようとするときにおいて、以下のいずれも満たすことを少なくとも要する。
その請求に係る特許出願について査定の理由と同一の拒絶の理由があると認められないこと
その請求に係る特許出願について査定の理由と異なる拒絶の理由を発見しないこと(25)特許法第百五十八条
審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。
(26)特許法第百五十九条第二項第五十条(拒絶理由の通知)及び第五十条の二(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。・・・。
特許法第五十条本文審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 請求認容審決の効果
審判の請求を認める旨の審決の送達をもって、特許料の納付をすることができる期間の進行が開始する(27)特許法第百八条第一項
前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の・・・審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
。なお、審判の請求を認める旨の謄本の送達をもってしても、その請求に係る特許出願の分割をすることができる期間の進行は開始しない(28)特許法第四十四条第一項
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
。
一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。3 請求認容審決の不服申立
審判の請求を認める旨の審決については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることはできない(29)特許法第百九十五条の四
・・・審決・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。
。なお、特許については何人も特許異議の申立てをすることができ(30)特許法第百十三条
何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。
、利害関係人は特許無効審判を請求することもできる(31)特許法第百二十三条第一項前段特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。
特許法第百二十三条第二項特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。
。4 請求認容審決の確定
(1)時期
審判の請求を認める旨の審決は、その査定の謄本の送達があった時に直ちに確定する(32)特許庁審判部編『審判便覧(改訂第16版)』は、「46―00 確定」の項において、
また、拒絶査定不服審判において特許(登録)すべきものとする審決・・・は、不服を申し立てる法律上の利益を有する者が存在しないことから、審決の謄本の送達があったときに確定する。
とする。。(2)効果
審判の請求を認める旨の審決の送達があった日から30日以内に特許料を納付することにより(33)特許法第百八条第一項
前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の・・・審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。
、特許権の設定が登録され、特許権が発生する(34)特許法第六十六条第一項特許権は、設定の登録により発生する。
特許法第六十六条第二項第百七条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があつたときは、特許権の設定の登録をする。
。このとき、その請求に係る特許出願について特許法第三十九条第五項本文の規定が適用されないことも確定する(35)特許法第三十九条第五項本文
・・・特許出願について拒絶をすべき旨の・・・審決が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
。
第四節 「さらに審査に付すべき旨の審決」とは
「さらに審査に付すべき旨の審決」とは、審決のうち、原査定を取り消す旨のほか、さらに審査に付すべき旨を結論とするものをいう(36)特許法第百六十条第一項
拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。
。差戻審決。審判の請求のうち、理由があり、さらに審査に付すべきと認められたものについてされる。
第五節 「審判の請求を却下すべき旨の審決」とは
「審判の請求を却下すべき旨の審決」とは、審決のうち、審判の請求を却下すべき旨を結論とするものをいう(37)特許法第百三十五条
不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。
。却下審決。審判の請求のうち、不適法であって、その補正をすることができないものについてされる(38)例えば、審判を請求することができる期間を経過した後にされた審判の請求がある。。
なお、その不服申立及び確定時期については、審判の請求は成り立たない旨の審決についてのものと同様である。
脚注
↑1 | なお、審判には、特許出願に係る拒絶査定不服審判のほか、延長登録出願に係る拒絶査定不服審判、特許無効審判、延長登録無効審判及び訂正審判があるが、ここでは割愛する。 |
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↑2 | 特許法第百三十九条審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。 |
↑3 | 特許法第百五十六条第一項審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者・・・に通知しなければならない。 |
↑4 | なお、特許庁審判部編『審判便覧(改訂第15版)』は、「42―03 審理終結通知の省略」の項において、以下のときは、審理終結通知を省略しても、当事者にとって格別不利にならないので、審理終結通知を省略しても良い。として、 (1) 拒絶査定不服の審判であって、請求が成り立つとき。を掲げていたが、『審判便覧(改訂第16版)』において「42―03 審理終結通知の省略」の項全体が削除された。 |
↑5 | 特許法第百五十七条第二項審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。 |
↑6 | 特許法第百五十七条第三項特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者・・・に送達しなければならない。 |
↑7 | 特許法第百五十七条第一項審決があつたときは、審判は、終了する。 |
↑8 | 特許法第百六十七条の二本文審決は、審判事件ごとに確定する。 |
↑9 | 特許法第四十一条第一項第四号特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許・・・を受ける権利を有する特許出願・・・であつて先にされたもの(以下先の出願という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲・・・又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。 |
↑10 | なお、特許法第には「拒絶をすべき旨の・・・審決」との語が用いられているが(特許法第三十九条5項他)、ここでは専ら「審判の請求は成り立たない旨の審決」との語を用いる。 |
↑11, ↑13, ↑25 | 特許法第百五十八条審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。 |
↑12 | 例えば、特許庁編『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』は、特許法第百五十九条の〔趣旨〕の項において、例えば、審査において後願を理由として拒絶され、それに不服で審判を請求した場合において、 審判においても後願の事実が明らかであれば、すでにそれについては審査の段階で拒絶理由を通知しているのであるから、重ねて拒絶理由を通知する必要はなく、ただちに審判の請求を棄却することができる。とする。 |
↑14, ↑26 | 特許法第百五十九条第二項第五十条(拒絶理由の通知)及び第五十条の二(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。・・・。 特許法第五十条本文 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。 |
↑15 | 知財高裁平成24年3月8日判決・平成23年(行ケ)第10406号[水/アルコールを基礎とするフルオロアルキル官能性オルガノポリシロキサン含有組成物,その製造方法および使用法]本件においては,平成23年3月23日付けの拒絶理由通知に対する意見書の提出期限は,当初同年6月30日とされたが,原告からの合計3か月の期間延長申請に対して許可がされたことにより,同年9月30日まで延長された。しかるに,本件審判においては,上記提出期限より約2か月前である平成23年7月25日付けで審理終結通知がされ,同年8月9日付けで上記拒絶理由を理由として本件審決がされた。したがって,本件審決は,実質的に意見書提出の機会を付与することなくされたものであり,手続違背の違法があるといえる。 |
↑16 | 知財高裁平成27年3月10日判決・平成26年(行ケ)第10137号[可逆的熱特性を有する複合繊維]上記の点に鑑みれば,本件拒絶査定において,理由1及び理由2のいずれの対象にも記載されていない平成24年補正後請求項1につき,これに対応する当初請求項1について本件拒絶理由通知書に記載されていた拒絶理由が,黙示に維持されているものと解する余地はないものというべきである。 |
↑17, ↑21 | 特許法第百七十八条第三項第一項の訴えは、審決・・・の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。 |
↑18, ↑28 | 特許法第四十四条第一項特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。 |
↑19 | 日本国憲法第七十六条第二項特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。 行政事件訴訟法第三条第三項 この法律において裁決の取消しの訴えとは、審査請求その他の不服申立て(以下単に審査請求という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に裁決という。)の取消しを求める訴訟をいう。 特許法第百七十八条第一項 ・・・審決に対する訴え・・・は、東京高等裁判所の専属管轄とする。 特許法第百七十八条第二項 前項の訴えは、当事者・・・に限り、提起することができる。 特許法第百七十八条第三項 第一項の訴えは、審決・・・の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。 特許百七十九条本文 前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。 |
↑20, ↑29 | 特許法第百九十五条の四・・・審決・・・については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。 |
↑22 | 特許法第三十九条第五項本文・・・特許出願について拒絶をすべき旨の・・・審決が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。 |
↑23 | なお、特許法には「特許をすべき旨の・・・審決」との語が用いられているが(特許法第百八条第一項他)、ここでは専ら「審判の請求を認める旨の審決」との語を用いる。 |
↑24 | 特許法第百五十九条第三項第五十一条(特許査定)・・・の規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合に準用する。 |
↑27, ↑33 | 特許法第百八条第一項前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の・・・審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。 |
↑30 | 特許法第百十三条何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。 |
↑31 | 特許法第百二十三条第一項前段特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。 特許法第百二十三条第二項 特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。 |
↑32 | 特許庁審判部編『審判便覧(改訂第16版)』は、「46―00 確定」の項において、また、拒絶査定不服審判において特許(登録)すべきものとする審決・・・は、不服を申し立てる法律上の利益を有する者が存在しないことから、審決の謄本の送達があったときに確定する。とする。 |
↑34 | 特許法第六十六条第一項特許権は、設定の登録により発生する。 特許法第六十六条第二項 第百七条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があつたときは、特許権の設定の登録をする。 |
↑35 | 特許法第三十九条第五項本文・・・特許出願について拒絶をすべき旨の・・・審決が確定したときは、その特許出願・・・は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。 |
↑36 | 特許法第百六十条第一項拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。 |
↑37 | 特許法第百三十五条不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。 |
↑38 | 例えば、審判を請求することができる期間を経過した後にされた審判の請求がある。 |