組成物発明における「からなる」の文言解釈について

 一般に、組成物に係る発明(以下「組成物発明」という。)の特許請求の範囲の記載には、「AとBのみからなる組成物」、「AとBからなる組成物」、「AとBを含有する組成物」という場合が存在する。

そして、それぞれの発明の要旨認定において、特許庁現職時には、前二者はA又はB以外の第三成分を包含できないのに対し、後者はA又はB以外の第三成分をも包含できると解釈して運用していた。

しかしながら、組成物発明における「からなる」との文言について、そのように解釈しない裁判例もあったところ、知財高裁平成29年1月20日特別部判決・平成28年(ネ)第10046号[オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤](以下単に「大合議判決」という。)によって、個人的には一応の決着がついたと見ている。

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